パリ郊外のセルジーポントワーズ地方音楽院(コンセルヴァトワール)を受験し、合格しました

先日、パリ郊外のセルジーポントワーズ地方音楽院(コンセルヴァトワール)を受験し、無事に合格することができました。

高校3年生のときに音大を受験して以来、実に14年ぶりに受験を体験しました。

受験当日はすごくすごく緊張したけど、受験したクラスより1つ上のクラスに入ることもでき、チャレンジして本当に良かったと思っています。

わたしが受験を決めたきっかけ

そもそもわたしがパリに来たのは旦那さんの転勤がきっかけでした。

大阪音大を卒業し、一度は高校の非常勤講師として就職したものの、クラリネット奏者になるという夢が諦められず、一年で辞めてフリーランスとして活動していて、ずっとクラシック音楽だけをやっていました。

ただ6年前にジャズと出会い刺激を受け、わたしもジャズがやりたい!と思うように。

4年前に東京に住まいを移して活動するなかで作曲をするようになり、2枚のアルバムを出すことが出来ました。

ただ、30歳までにこうなりたい!と思い描いていたクラリネット奏者には到底なれそうにないという現状を前に、わたしは今後どんな活動をしていけばいいのか?何を目指していけばいいのか全くわからなくなりました。

そんな思いがあり、ふるさとの福知山での活動にもっと力を入れようと思い東京を離れることを決めたすぐあとに、旦那さんの転勤が決まりパリに引っ越すことになりました。

そんなことがあったので、パリに来た一年目は語学学校に通いつつ、さまざまな文化に触れたりコンサートに足を運んだりしましたが、やりたいことが見つかることもなく、また体調が優れないときも多く気持ちがなかなか前向きにならないときが多かったように思います。

そんななか、フランス語の学習がわたしの気持ちを少し前向きにさせてくれました。

もともと英語もそんな出来るほうじゃなかったし、音大で英語とドイツ語を学んでいた時の成績も全然よくなかったのですが、わたしにあった方法でコツコツと勉強をすればちゃんと理解できるようになるということを知りました。

ただ、文法的なことは勉強をすれば分かるようになると感じたけれど、それだけでは会話出来るようにはならない。実際に何らかのコミュニティーに属さないと会話する機会を増やす必要を感じ、音大というコミュニティーに入ろうと決めました。

受験を決めたのは6月くらいだったと思います。

それまでに知り合っていたクラリネット奏者のピエール・デュトリュー氏に彼が教えている学校の受験を勧められていたこともあり、セルジーポントワーズのコンセルヴァトワールを受験することにしました。

受験したコースや内容

セルジーポントワーズのコンセルヴァトワールにはいくつもクラスがあるんですが、わたしが受験するなら下記の2つのうちどちらかだと言われました。

・COP(Cycle d’orientation professionnelle)
・Classe de maître

ただ、Classe de maîtreのクラスはCOPのクラスに最長3年通い修了試験に合格すると貰えるDEMというものがないと受験出来ないと言われたため、わたしはCOPを受けることになりました。

受験曲には課題曲の中からウェーバーのコンチェルト1番の1楽章、もう1曲はコンテンポラリーの無伴奏を演奏するように指定されていたのでG.ScelsiのIXORを選びました。

試験日に向けて練習する中で、演奏のお仕事とはまた違った独特の緊張感に襲われることも多々ありました。

ただ、最近継続して続けている語学学習など日々のルーティンをこなすことで精神的に落ち着いたり、楽器を演奏する時間に一番集中できるように夜には「その日一番情動を感じたこと」を手帳に書いて、感情をコントロールしたり、朝晩に5分間の瞑想をして心身を落ち着けたりしました。

何時間でも練習していたかったけど、やっぱり唇に限界が来るし、1日に練習出来る時間って割と限られていると思ったので、いかに効率よく練習するか、また暗譜をして望もうと考えていたので暗譜の対策も進めていきました。(暗譜は必ずしないといけないわけではなかったです)

受験の際に提出しなければならなかった書類の書き方などはまた別記事にまとめようと思いますが、大変に感じることも多く、海外の大学を受験するすべての人を尊敬しました。(みんなこの手続きを経て入学してるなんてすごい、、ってなった)

当日はもうむちゃくちゃ緊張していたんですが、課題曲を2曲演奏し、何でパリに来たの?すぐ日本に帰っちゃうんじゃないの?フランス語は勉強してるの?という3つの質問に答えて試験は終了。

その日のうちに結果発表があり、受験したクラスよりも上のClasse de maîtreに入学出来ることになりました。

このクラスは上手くいけば1年でディプロムを取って卒業することができるので、2020年の3月末までしかパリにいないわたしにはぴったり。

というより、受験曲も演奏時間も違うのに上のクラスに合格させてくれるフランスはすごい。

ヨーロッパの人たちの音楽との生き方に学ぶこと

パリに住むようになって、ヨーロッパの人々の生き方に刺激をもらう機会がすごく多いです。

コンセルヴァトワールと聞くとなんか凄いとこなんじゃ??と思われるかもしれませんが、コンセルヴァトワール=日本の音大と同じわけではなく、楽器を学びたい人が行く場所です。

学校によって違うのですが、コンセルヴァトワールにはさまざまなレベルのクラスがあり、日本の音大的なレベルのクラスもあるし、音楽教室の延長のような楽器を始めたばかりの小さな子供が通っているクラスもあります。

なので、10歳以下の子もいれば会社員の人もいるし、アマチュアさんもいる..幅広い年齢の人々が学ぶことができる場なのです。

クラスもさまざま、年齢もさまざま、レベルもさまざま、そして日本よりもたくさんの学校があります。

(パリにはそれぞれの区にコンセルヴァトワールがあります→東京23区にそれぞれ学校があるかんじかなぁ..)

また、フランスには「部活」というものがないので、楽器を吹きたい!と思う人はコンセルヴァトワールに通うのです。

ちなみに、パリに住み始めて「クラシックもジャズにも興味あって、、」というと、『じゃあ2つやればいいじゃん?』って言われることがありました。

最初の頃は「えー?そんなん大変やん!」って思ってたけど、例えば希望する先生のレッスンを受けるために1つの学校に通い、ビザを取るために別の学校にも行っている知人もいます。

日本の音大だと、レッスン以外に色んな授業をとらなければいけないのが普通なので、2つの学校に在籍することが出来るというのはびっくりしました。

でもこのシステムは興味のあることに対してアクションが起こしやすく、さまざまな音楽との生き方が尊重されていると感じています。

受験を終えていま思うこと

32歳でコンセルヴァトワールを受験したというと「その年なのに?」と思う人もいるかもしれませんが、わたしは生きていくなかで常にチャレンジし続けていたいと思うし、今回はそのチャレンジの場がコンセルヴァトワールだっただけのように思ってます。

どんな状況にいても、どんなレベルであっても、自らに絶望して何もしないよりも、前向きな気持ちで行動を起こしている方が100倍気持ちいい。

良い結果を得ることが出来て嬉しいけど、チャレンジしたからこそ楽器を演奏する際の意識が変わったり、普段からどんな心持ちで音楽と対峙したいのか改めて考えることが出来たので、そのことこそわたしにとってものすごく必要で価値あることだったなぁと。。

人はみんな何らかの職業や出来事をとおして「自分」という人間を知り、深めていくのだと思います。

以前はむかし思い描いてたクラリネット奏者像と全然違うことにモヤモヤしてたけど、理想像なんてどんどん変わる可能性があるし、なにかに恐れて縮こまって自らの可能性を否定するより、興味があることに全力で取り組んで、常にチャレンジし続けていたい。

過去に囚われがちだったけど、過去は過去でしかなく、大事なのはいまこの瞬間から何をするかでしかないなと。

たとえば、自分のダメなことを考える時間があったら、その3倍自分のいいとこを考える時間をつくる。
自分の可能性を感じられないときがあったら、その3倍自分の可能性を信じる時間をつくる。

時間は「3倍」じゃなくてもいいんですが、わたしは不安と希望は2:8くらいで持ってればいいかなと思います。

過去のわたしがそうだったんですが、望む未来があるなら、それについて考える時間を圧倒的に増やした方がいいのに、不安な未来について考える時間がすごく多かったんです。

それでしあわせだったらいいんですけど、、

たぶん、しあわせじゃないですよね?

未来を憂いて事前に対策することは大事だけど、憂う時間が長すぎると脳がマイナス思考に占拠されてしまうんですよね。

たとえ何か達成することが出来なくてもチャレンジしているわたしの方が、しないわたしよりもずっと好きだな、と思う。

今回受験するにあたってそういう思考の癖を見つけられたこと、脳をだましてわたしの可能性を信じ込ませて行動し続けることが出来たことは、今後の人生を歩む上でもとても大切にしたいこととなりました。

パリでは現在フランス国立管弦楽団首席クラリネット奏者のパトリック・メッシーナ氏にプライベートでレッスンを受けているのですが、それも継続しつつ、現在パリで計画している自主企画のコンサートの開催などをとおしてわたし自身の音楽も深めていこうと思っています。

ファンクラブ募集
by
関連記事