先日、なぜコンセルヴァトワールを受験したか?という記事を書きましたが、「受験」という独特の雰囲気のなかでも自分自身が望むパフォーマンスをするために試行錯誤した内容をまとめてみました。
受験という場で演奏するのは、お仕事や自主企画のコンサートで演奏している時とはまた違った緊張感があり「ただ練習するだけではなく、心も整える必要がある」と強く感じたため、下記の7つのことに取り組み、受験に臨みました。
1.理想のパフォーマンスをしている自分を思い浮かべる
曲に取り組む上で理想のパフォーマンス像を持つことはとても大切です。
どんな演奏がしたいのか?ということを明確にすることによって、どんなことを練習したらいいのか?=練習内容が具体的になります。
今回、理想とする演奏を定期的に聴き、イヤホンでその演奏を聴きながら一緒に吹いたりしていました。
こうすることで音の処理、息のスピード、音色の変化などさまざまな違いを感じることができ、自分の今の状態と理想とする状態にどんな違いがあるのかが明確に分かります。
また、自分の演奏を録音して何度も聴き、理想との違いを見つけるようにしました。
いつも使ってるのはこのアプリ。どんな場所で録音してもちょうどいい感じの音量に調節くれます。
自分の演奏を聴くと凹むことも多々ありましたが、もっとこう吹きたい!という前向きな気持ちがあってチャレンジしてるんだから、録音することをためらったり、聴くことを嫌がる必要はないな、と思い何度も録音しました。
2.暗譜するために録音を活用
暗譜をするときに役立ったのが「自分の演奏を録音したもの」でした。
録音を聴いていると「もっとこうしたい」という気持ちが出てくるし、練習していない間も自分の演奏を流していると自然と旋律が脳にインプットされていきます。
まだまだ練習したいのに唇が痛くなってどうしても吹けないときは自分の録音を聴きながら楽譜や理想とする演奏のイメージを膨らませました。
3.集中出来る最長時間以上は続けて練習しない
練習しているうちに、わたしが集中して練習出来るのは1回1時間〜1.5時間だということが分かりました。
なので、集中して取り組んだあとは必ず休憩を入れて、スケジュールにメリハリをつけました。だらだら練習していても意味がないし、1時間しかない!と思うとやりたいことに集中して取り組むことが出来ました。
4.演奏に使える時間を具体的に把握する
1日は24時間しかありません。そのうち睡眠に使う時間が6時間ほど、お風呂に入る30分、毎朝取り組んでいるDMM英会話の1時間、ご飯を食べる時間など約10時間を差し引くと、自由に使える時間は14時間ほどです。
そのうち、どれくらい練習時間に使えるかを考えました。
試験直前は緊張して唇がかなり痛くなってしまい、毎日4〜5時間ほど(そのうち基礎練習に1〜1.5時間)の練習をしていましたが、語学学習と楽器練習で1日8時間〜10時間使うということを決めて取り組むことにしました。
自分が取り組みたいことに使える時間を具体的に把握するのはとても大事です。
5.緊張を和らげるために練習以外の時間に日々のルーティンをこなす
語学学習と楽器練習で1日8時間〜10時間使うということを決めたものの、特に試験日が近づくにつれて「もっとクラリネットを吹く時間を増やした方がいんじゃないか?」という思いにかられました。
ただ、だからといって10時間楽器を吹き続けること=時間数だけを見ることはあまりにも意味がないし、ずっと集中力が持つとは思えませんでした。
実際に語学学習の時間を減らし楽器練習の時間を増やしたときもありましたが、うまく練習に集中出来ない&語学学習の時間も減って気持ちがモヤモヤしたので、語学学習の時間は毎日きちんと取ることにしました。
いま平日休日にかかわらず朝の7時から必ずDMM英会話を2レッスンしているんですが、受験当日も試験は15時からだったこともあり、いつも通りにルーティンをこなしました。
何かを継続したいときはやる気を持続させることよりも『脳にどんな認識をさせるか』が大切な気がする🤔 1ヶ月間毎朝7時からDMM英会話を2コマしてたけど特に大きな達成感がないのは、継続して取り組むことを「特別なこと」ではなく「毎日やるのが普通」と脳に信じ込ませてやってたからだと思う。
— 吉田佐和子 (@sawaclarinet) 2018年9月30日
この「毎日同じことをする」ということで、余計な不安を感じることなく、目の前の自分が決めたことにしっかり取り組むことが出来ました。
6.朝と晩に瞑想、1日の終わりに4分間ノートを書く
練習を重ねるうちに良いパフォーマンスが出来るようになってきたのですが、ふと不安になって気持ちが沈んだり、焦って練習に集中出来ないときがありました。
そこでやってみたのが朝晩の5分間の瞑想と、夜に4分間タイマーを使って「その日いちばん情動を感じたことを書く」ということでした。
これが思っていた以上に効果的でびっくり。
瞑想は、椅子に座って5分間背筋を伸ばし、手を両腿に置いて、ただただ呼吸することに集中します。頭と体がすごくスッキリするし、不安な気持ちもどこかにいくのでほんとうに不思議です。
瞑想するときは何も音を流さないこともあるけど、もし音が欲しい人はこのアプリがおすすめ。
何より、朝晩の5分間だけで心身ともに穏やかになるので、是非やったことのない人はやってみてほしいです。
また、夜に4分間タイマーを使って「その日いちばん情動を感じたことを書く」というのは、気持ちの整理に役立ちます。
1日を振り返って、いちばん感情が動いたときを思い出すのですが、嬉しい気持ちのときよりも嫉妬や怒りを感じているときが多いことが分かりました。また、これは翌日の朝になると覚えていなかったりするんですか、大切なのは「その日感じた感情をその日のうちにしっかり浄化させてあげること」です。
そうすることで、翌日は新しい気持ちで練習や語学学習に取り組めたし、書くことによって自分で自分のケアをしている実感を強く持つことが出来ました。
こうして感情のコントロールすることは練習時の集中力につながるし、練習の質を上げるということはパフォーマンスを上げることにも繋がると実感しています。
7.不安を感じたら本来の願望をリアルに想像する
「このまま良いパフォーマンスが出来なかったらどうしよう」「わたしはダメかもしれない」など、不安な気持ちが止まらないときもありました。でも、そんなときは脳をだますことに決めました。
試験当日に緊張しながらも思うようなパフォーマンスが出来ている様子や、受験に合格したあとに笑顔でいる様子、思わず考えているだけでワクワクするようなことを思い浮かべて、今やっている練習はその未来につながっているのだと強く感じることで不安な気持ちよりワクワクする気持ちを増やすことができました。
不安な気持ちを感じていると、どうしてもパフォーマンスが小さくなりがちです。
不安な気持ちを感じたときは「それって本当にそうなるの?100%そうなるって決まったわけじゃないのに、何でダメな状態ばかり考えるの?」と自問自答し、『不安なことを考えたい自分』は結果がどうなるか分からないことにチャレンジしている自分を肯定してないから生まれてしまうのだと気付くことができました。
また、気持ちをコントロールする上で下記のコーチングの本もとても役にたちました。
自己肯定感がなかなか持てない人、不安な気持ちをどうやってコントロールしていいか分からない人はぜひ読んでみてください。
まとめ
受験当日はものすごく緊張しましたが、なんとか無事に終わり、受験したよりもひとつ上のクラスに合格することができました。
試験を終えて、いつも自分の曲を演奏するときはその曲に込めた思いを伝えようと自然と意識したり、お客さんの雰囲気や表情を見ているんですが、客席にいるのは4人の審査員、しかもみんな審査をするのもあって無表情。
その独特の空気感のなかどんな心持ちで演奏するか?ということはもう少し考えておけば良かったなと感じました。
他にもいろんな気付きがありましたが、特に強く感じたのは、大きくこの2つでした。
- 望む姿をリアルに想像して、そこに向かって取り組んでいることにワクワクすることによって日々のルーティーンを前向きに、しっかり取り組むことが出来る
- 瞑想や情動が動いたことを書き留めることで心を整え、質の良い練習をすることができ、自分の望むパフォーマンスを常に出来るようになる
今までなんとなく取り組むことができていた部分もありますが、今回こうしてまとめてみたことで改善策も見えてきました。
引き続き、自分の望むパフォーマンスがどんな場面でも出来るように毎日コツコツ取り組んでいきたいと思います。