10ヶ月ぶりに日本に一時帰国していました。
13日間という短い滞在期間でしたが、そのあいだ東京・大阪・福知山で7人の生徒さんのレッスンをさせていただきました。
年齢は10代〜50代まで、音大生、音大を卒業した方、アマチュアさんと本当にいろんな方がレッスンを受けにきてくださいました。
お土産もたくさんいただき、ありがとうございました。
わたしが今回レッスンで大切にしようと決めていたことは『生徒さん以上に、わたしが生徒さんの可能性を信じてレッスンをする』ということでした。
これは、わたしがパリに来てレッスンを受けている先生方がいつもポジティブな言葉を使って、わたしの未来を信じ、励ましてくださるからです。
彼らの言葉や熱い姿勢に刺激を受け、彼らのような演奏家、指導者でありたいと思っていたので、遂にそれを発揮するときが来た!と思い日本に帰りました。
今回帰国したときに行ったことをまとめることで、わたしがどんなことを大切にしてレッスンをしていたかご紹介します。
1.わたしの役割は生徒さんを信じること
わたしのレッスンでは「生徒さんが望む演奏」が出来るようになるために、全力でサポートしたいと考えています。
わたしと生徒さんの考え方と感性は違って当たり前で、生徒さんが「この音が出したい」と思われる音は、わたしにとっては良いと思うものではないかもしれません。
感じ方は人それぞれ違うので、これは普通です。でも、わたしはその音が出したい理由もお聞きした上で、その音が出せるようにアドバイスをさせていただきます。「わたしのレッスンに来る=わたしが良いと思う音を出さなければいけない」ではないのです。
また『生徒さん以上に生徒さんの可能性を信じてレッスンをする』と決めていて、生徒さんが望む未来を手に入れた状態を頭に思い描いてレッスンするので、もしレッスン中にアドバイスしたことがすぐに出来なくても、怒ったりすることはありません。
でもそれって「この人は出来るから、大丈夫」って信じてるからなんですよね。
以前のわたしは、怒られて楽器をやってきた経験から、怒ること=成長に必要なんだと勘違いしていました。でも、怒ったりしなくても、相手を心から信じることで言葉や態度も変わるし、それは絶対生徒さんにも伝わります。
自分以外の誰かが、自分の可能性を心から信じてくれてるってものすごく大きな力になるんですよね。
2.自分の中にある答えを大切にしてもらう
レッスンに来て「いい音が出せるようになりたい」とおっしゃる生徒さんは多いのですが、わたしはいつも『良い音ってどんな音ですか?』とお聞きしています。
良い音の基準はみんなそれぞれ違うからです。
また、自分が「いい」と思う音があるのに、それに蓋をしてその基準を無理やり先生に合わせる必要はありません。
もちろん、コンクールや入試など審査する人がいる場合は、その人たちが良いと思う演奏をする必要があり、対策が必要ですし、オーケストラや吹奏楽などの現場で同じパートの人と音色を合わせることは大事ですが、いつでも自分の感じたことを否定する必要はないんです。
怖いのは、先生がその人の音色を根本から否定してしまうこと。
「汚い音を出したい」と思って演奏する人なんていません。
でも、すごく緊張していたり、楽器の状態が悪かったり、リードの状態が悪かったり、体の状態が万全でないと、望む音が出なくなることはあります。
そういうときに「なんだその音は」などと、悲しい言葉をかけられた人は、自分の音は汚いor悪い=先生の望む音を出さなければ!と思ってしまうのではないでしょうか。
そして、自分が良いと思う音よりも、他人が良いと思う音を出さなければと思ってしまうと、1人で練習していてもいつも誰かの目線が気になってしまい、自分の中にすでに答えはあるのに外に答えを探しに行くような状態になってしまうんです。
レッスンでは、生徒さんが考えていることをどんどん言葉にしてほしいと考えています。
そしてお話をお聞きして、実際に音を出してもらったら、さらに理想に近づけるように質を高められるアドバイスをしています。
3.積極的に使うのはポジティブな言葉
パリでレッスンを受ける中で驚いたのは、常にポジティブな言葉を使って指導されるということです。フランス語ではレッスン中だけでなく、日常会話でも『Très bien』(素晴らしい)や『bien』(良いね)という言葉をよく使います。
でも、日本では「素晴らしい」ってあまり言わないなぁ、と思っていたのでわたしのレッスンでは下記の言葉を積極的に使うようにしました。
・素晴らしい!
・いいね!
・すごく良くなった!
すると、普段からレッスンでこういう言葉を言われ慣れていない生徒さんはキョトンとされるのです。
人は褒められると嬉しい気持ちになるはずなのに、なぜかレッスン中は怒られることに慣れてしまって、褒められるとどう反応していいか分からないのかなぁ、と感じました。
褒められたら「ありがとうございます」や「嬉しい」と思っていいんですよ、と何度もお伝えしていました。
わたしは中学・高校と吹奏楽部に所属していましたが、子供なりに『大人に怒られたときは反省している空気を流し、反省している顔をしなければいけない』と思っていました。そうしないと、怒っている人の怒りがおさまらなかったからです。
でも、コンセルヴァトワールでオーケストラの授業を受けたときに、そのような理不尽な怒りは一度もありませんでした。
わたしは音楽を教える場において、人間性を否定したり、マイナスな言葉を多用する必要はないと考えています。レッスンや教育現場で使われる言葉が変われば、もっと楽器を楽しめる人が増えるんだろうなぁと心から思います。
4.お話の時間から生徒さんの良いところを見つける
今回、初めての試みとしてレッスンの前後にカフェなどで少しお話させていただく時間をつくりました。
これは留学希望者の人が多かったこともありますが、生徒さんがご自身の希望について語っておられるときは、いつもキラキラしておられて、声も前に飛んできます。
そして、これは楽器を吹いているときにも応用できると思うんです。
生徒さんの考え方のベースや意識されていることは、レッスン中のちょっとしたお話からも分かるので、お話するなかで見つけた良い部分をお伝えして、それを楽器を演奏しているときにも使いましょう!とご提案しています。
逆に、お話しているときに見つけたキラキラした部分が楽器を吹いているときになくなっていたら、何らかの要素がその人の良いところを隠してしまっているので、それもお伝えしています。
5.考え方や性格は変えなくていい、調整できるかが大事
今回レッスンしていて思ったのが『日頃の考え方がいかに演奏と紐づいているか』ということでした。
多くの日本人は真面目です。そのため、自分の抱える問題を把握する力も高く、これは良いところだと思っています。
でも、その力の使い方を間違えると、自分の抱える問題をハードに捉えすぎて心が辛くなるような状態になっておられることもあります。
わたしは生徒さんに「マイナス思考なんです」と言われても『問題把握が早く出来るっていいじゃないですか』とお伝えしています。
マイナス思考の人=ダメではなく、どんなときにどれくらい使うかという調整が出来ていないことで、心が辛くなっておられるように思います。
わたしはどんな考え方や性格も直す必要ってないのかなって思ってます。
それは、心が辛いな、と感じたときや、誰かと摩擦が起きたときに少し考え方を調節することが出来ればもっと楽になるはずだからです。
こういう考え方でレッスンをしているので、わたしは生徒さんのことを怒ることもなければ、否定することもありません。
生徒さんが望む演奏が出来るように、生徒さんが既に持っている力や個性をどんな風に使えばいいのか、そしてクラリネットをもっと楽しく自由に演奏出来る可能性を感じてもらえるレッスンをご提供しています。
まとめ
日本にいた頃はこんな風に考えたことがなくて、おそらく全然違うレッスンだったと思います。
レッスンでは生徒さんの良いところをたくさん見つけて前向きな言葉をたくさん心からお伝えするので、レッスンが終わったあとは、わたし自身もなんだかパワーがもらえた気持ちになります。
『脳は主語を認識できない』というのは本当なんだな、と思います。
生徒さんに言った言葉なのに、わたし自身に言った言葉にもなっているんです。
それを何時間もしていると、わたしもとっても前向きな気持ちになれました。
自分以外の誰かが、自分の可能性を心から信じてくれてるってものすごく大きな力になる。
それを知ったから、いつでもレッスンをするときはレッスンに来てくださる方にもそう実感していただけるように、生徒さんの可能性を生徒さん以上に信じる先生、というよりも生徒さんの目標達成に向けて一緒に頑張るパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。
レッスンのお知らせ
4月末にも一時帰国をするので、その際にもレッスンを行います。
基礎練習を確立したい方、留学を考えている方、初心者〜音大を卒業した方までどなたでも大歓迎です。
これが今年最後の帰国になりますので、希望される時間帯と一緒にご連絡ください。
おかげさまレッスンの募集は終了致しました。
お問い合わせありがとうございました!
【大阪】
4/19 [残り1枠]午後〜16時まで
【東京】
4/24 [残り1枠]18時以降
4/26 [残り2枠]午後以降
4/27 [残り2枠]1枠 AMまたは夕方以降
【京都/福知山】
5/1 午後以降
レッスンに関して
レッスン代は1時間1万円となります。
レッスン代には下記の内容が全て含まれます。
①事前に楽譜を送付
基礎練習で使用する楽譜は事前に配布しますので、あらかじめレッスンに向けてしっかり準備していただけます。
②レッスン前に30分程度カフェでお話
レッスンで希望されることや楽器や留学に関する悩みなど何でも聞かせてください。
③レッスン
生徒さんの可能性を生徒さん以上に信じ、生徒さんが望む演奏が出来るよう全力でサポートします。また、生徒さんの個性や長所を活かした練習法もご提案させていただきます。レッスン中の演奏の変化をあとで客観的に聴いていただきたいのでレッスンの録音もしていただいています。
④レッスンの内容と感想をまとめたPDFをレッスン後にお送りします
レッスンは「受けること」がゴールではなく、その後どんな「アクション」をとるかが大事です。お話したことを文字にして可視化することで、生徒さんのアクションをよりスムーズにします。
⑤レッスンを受けてくれた人のみ閲覧出来るLINEオープンチャットに招待
レッスンを受けてくれたあとも、レッスンを受けた人是非伝えたい情報を配信したり、質問してもらえる場所をつくっています。
レッスンをご希望の方は、いつでもお気軽にこのサイトのお問い合わせかFaceBookやTwitterのメッセージから連絡ください。