過去10年を振り返って今思うこと

ツイッターで『#10年を振り返る』というタグがあり、面白そうだったのでつぶやいてみました。

私は目標をつくった方が頑張れるタイプなのですが、26歳のときに『30歳で目標達成出来なかったら音楽辞めよう』と決めて、東京でチャレンジすることを決めました。

『音楽をやめる気で頑張る』というのは自分を追い込むための強力なパワーワードで、いろんなことを乗り越えることができたんですが、年齢を区切ってハードな目標を決めたために無理が生じ、最終的に自分で自分の首を閉めてしまうことになってしまいました。

東京に住み始めてから、自分のCDがタワレコに並んだり、クラリネット専門誌である『ザ・クラリネット』に取材もしていただき、憧れていた音楽家の方々と一緒に演奏することもでき、夢見ていたことが叶っていきました。

でも、お客さんが喜んでくださったとき、素晴らしい音楽家のみなさんと共演出来たとき、素晴らしい音楽に包まれたときなど、一時的にものすごく幸福な気持ちに包まれるのに『でもまだまだこんなんじゃダメだ』と苦しくなるまで自分を追い込む気持ちが消えなかったんです。

CDを出せば、誰かと共演すれば、コンサートをたくさんすれば、今よりも音楽でお金が得られれば・・・そう思って走り続けたのですが、2枚のアルバムを発売したくさんの人にCDを買っていただいても、大きなお仕事をしても、わたしは自分自身のことをずっと認めることが出来ませんでした。

何かを成し遂げたらその先に光があると思っていたし、音楽家として自分自身を認められるはずだと思っていたのですが、自分がやってきたことと裏腹に心にぽっかりと空いた穴は徐々に広がっていって、わたしはもう次に何をしていいか分からなくなってしまったんです。

その後、東京のお家を引き払い関西を拠点にすることを決めたのですが、本当にその直後に夫の転勤がきっかけでパリに移住することが決まったのです。

そのときは『わたしの人生ってこんな風になっていくんだ』と、どこか他人事のようなことにも感じたし、『神様はわたしにまだ音楽を続けなさいって言ってるのかなぁ』と思いました。

SNSではあまり弱音を吐きたくないのでパリに来てからは楽しかったことや良かったことだけを載せていたのですが、渡仏前から腰を痛めていたこともあり、精神的にも参ってしまい楽器を吹けない日がたくさんありました。

腰が痛くて思うように歩けない、体が思うように動かなくてもちゃんとお金を稼げる方法を考えなきゃいけないな。
もう音楽もやめなきゃいけないかな。
でも、楽器を吹かない自分に何の価値があるんだろう・・

そんな風に思って悲しくなって泣いてしまう日もたくさんありました。

でも、このときに楽器を吹いていなくても悲しく辛い気持ちになることを知りました。

日本で音楽活動をしていたときは、音楽をやってるからこんなに辛い気持ちになるのかな?と思ったこともあったけど、音楽をしていてもしていなくても生きていれば辛いことはあるのだと、当たり前のことかもしれませんが、このとき強く実感することが出来たんです。

そして、生きていれば必ずつらいことがあるのだから、どうせならわたしは音楽と共に生きながら辛い思いをする方が良いと感じたのです。

いま思えば、楽器から遠ざかっていた日々はわたしにとって神様がくれた人生の休暇だったように思います。

ふと、もし昔の自分に会えるとしたら、何て言うかなぁ?と考えてたんですが『30才で目標達成出来なかったら音楽辞めよう』って気持ちは、そもそも音楽を続けたいという気持ちがないと出てこないものなんですよね。

だから、音楽を続けていくためにどうしたらいいかを考える方が精神的にも健康でいられたはずです。

あと、そのとき立てていた目標が数値化できるものでなかったのも良くなかった。反省することだらけです。

また、自己肯定感が本当に低すぎたので、ただ自分を責めるんじゃなくて、自分の心とうまく向き合う方法を探した方が良かったなと。

わたしは今年の1月から4回にわたって元看護師であり、現在ピアノ教室も運営されているコーチングのプロ・松本美和さんのコーチングを受けたことで大きく考え方が変わりました。

ぽこあぽこコーチング勉強会

コーチングって何??と思われる方もいるかもしれませんが、カウンセリングは具体的にアドバイスをするのに対して、コーチングは自分自身の思っている気持ちを引き出してくれて、自分一人では言語化できないことを具体化するお手伝いをしてくれると感じてます。

コーチングには複数の定義があるんですが、詳しくはこちらのリンクを読んでみてください。図も多めで分かりやすいと思います。

コーチングとは何か図説してみた

また、以前は悩みがあっても1人でなんとか出来る、専門家の力を借りるほどじゃない!と思っていたのですが、バレエ界の最高峰、英国ロイヤル・バレエ団に所属されている高田茜さんは次のように語っておられます。

『自分の踊りに満足がいかなかったり、伝えたいものが伝えられなかったりした時には舞台後に落ち込んでしまうことも。本番でパフォーマンスをフルに発揮するために、ロイヤル・バレエ団には精神科医がいます。舞台上で、いかに役に入り込める精神状態に持っていくかというメンタルトレーニングができるので、今後はもっと取り入れていきたいと思っています。』
引用:https://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2019-02-01/royal-ballet

この記事を見て、クラリネットのことはクラリネットの先生に習うように、自分の心との向き合い方は精神科医や心理カウンセラー、コーチングなどの先生と一緒に少しずつ自分に合った考え方をしていけたらいんじゃないかなって思ったんです。

美しき舞台の裏側。【英国ロイヤル・バレエ平野亮一&高田茜 前編】

一人でうまく解決出来ないことも、自分を応援してくれる人からのアドバイスがあれば解決の糸口を見つけやすくなるかもしれないし、合わないなと思ったら継続せずにやめればいいだけですしね。

よりよい演奏をするために楽器のレッスンに行くように、より健康的な考え方ができるようにコーチングで自分の思考のクセを知るのはとても大事だということを学びました。

相手を肯定しながら演奏力を伸ばす方法はパリに来てからレッスンを受けた先生方の指導からも感じていて、実際にコーチングを受けて学んだこと合わせてわたし自身のレッスンにも取り入れています。

あわせて読みたい
パリで出会った先生方が教えてくださったこと 1年前の12月15日。私はパトリック・メッシーナ氏の出演するコンサートを聴きに行って、終わったあとにレッスンをお願いしました。 あれからまだ1年しか経ってないんだ、...

自分の気持ちが分からなくなるときがあったり、自分を否定しすぎてしまう人は、良かったらスカイプで一度無料でお試しコーチングを受けてみてくださいね。

ぽこあぽこコーチング勉強会

今はフランス語と英語の学習に燃えつつ、音楽にも燃える日々ですが、あのときは本当に今とは別人のような日々を送っていました。

こうしてブログに書けるような精神状態になったのだなぁ、とここまで書いてきて思いました。

また、わたしが沈んだ状態から回復したきっかけは実は語学学習でした。

当時通っていた語学学校で教え方が悪いと評判の先生のクラスに入ったんですが(しかも先生を変えることができなかった)、同時期に出会った家庭教師の先生のおかげでフランス語を学ぶ楽しさを知り、フランス語学習にはまったんです。

自分に合った内容に取り組めばきちんと力がつくと実感したし、逆にどれだけやる気があっても、自分に合っていない内容をやっていると成長は遅いのだと痛感しました。

この過程で自分がどんな状態であっても、ちゃんと今の自分にあったことをすれば望む自分に近づけると知り、元気になってきたんです。

今は、パリにいる間にやりたいこと、そして来年の春に完全帰国した後にやりたいことで頭がいっぱいです。

これからの10年もいろんなことがあると思いますが、いっぱい失敗して、いっぱい落ち込んで、でもその何倍も挑戦して、いろんなことを学んでいきたいです。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

株式会社Locatell代表取締役社長 / 一般社団法人福知山芸術文化振興会 代表理事 / プロのクラリネット奏者としての活動を2023年9月で休止し、起業家として芸術文化・まちづくり・海外を軸に複数の事業を展開中

目次
閉じる