みなさんは人の名前を覚えるのは得意ですか?
わたしはとても苦手です。
先日もグレゴリー・ソコロフというロシアのピアニストの名前を覚えたいと思ったんですけど、なかなか覚えられませんでした。
なので、わたしは思い切ってこんな感じで名前をそれぞれイメージしやすいものに当てはめてみることにしました。
ポイントは最後のお麩ですね。
これでソコロフという名前をしっかりと覚えることが出来ました。
もう30歳超えると記憶力がやばいですからね。
ちなみに、音楽=MUSICという言葉の言葉の語源にもなったと言われるムシケー(文芸、音楽、舞踊を司る神「ムーサ」という言葉が由来。ムーシケとかムシケとも言われることもある)はこんな風に覚えました。
短い単語はこんな感じで無理やり記憶に残せるんですけど、人名はやっぱりなかなか覚えられないんですよね。
やっぱり自分で何度もその名前を口に出す方がよっぽど覚えられます。
話を戻すと、このグレゴリー・ソコロフを知ったのは本当に最近なんですが、彼のピアノを聴いた時、わたしは体を動かすことが出来ませんでした。
まぁ実際腰を痛めて本当に体をほとんど動かさない日々が続いてたんですけど。。
今までの人生の中でたくさんピアノの音を聴いたけれど、こんな音は聴いたことがなかったんです。
もちろん音楽には好き嫌いがあるので、彼の演奏が嫌いな人もいると思う。
ただ、彼によって生み出された自由な音は多くの人の心を自由に解放してくれるであろうことは、紛れもない真実。
コナンくんは真実はひとつだと言っています。
彼の演奏が私たちに幸福をもたらしてくれるということは真実であり事実なのです。
では演奏をお聴きください。
曲目は以下の通り。
・バッハ:パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825(全7楽章)
・ベートーヴェン:ピアノソナタ 第7番二長調 作品10-3(全4楽章)
・シューベルト:ピアノソナタ 第14番イ短調(全3楽章)
・シューベルト:楽興の時(全6楽章)より 第1〜3楽章
どんな人の曲やねーん、と思う人もいるかもしれないので、作曲家のことをざっくりと紹介しましょう。
バッハはバロック音楽を代表するドイツの作曲家。日本では「音楽の父」とも呼ばれていますね。
そんなバッハを真の天才と呼んだ多彩な作風を持つ古典派の作曲家・ベートーヴェンは、同じくドイツに生まれ、古典派からロマン派への架け橋となった人物でもあります。
また、ベートーヴェンの影響を強く受けたロマン派を代表する作曲家・シューベルトはウィーン出身の作曲家。「歌曲の王」とも呼ばれていて31歳(いまのわたしと同い年!)で亡くなるまでに600曲もの曲を作りました。
プログラムは時代の流れにそって展開されています。
彼はリサイタルごとにプログラムを変えるのではなく、決まった期間は同じ作品に取り組み続けるんだそうです。
これはこの映像が収録された頃の固定プログラムだったのかもしれませんね。
どうでしたか?
いろんな感想があると思うんですが、わたしが彼を素晴らしいなと思う点は3つあります。
1つは彼の楽曲に対する愛や楽曲研究の末に生まれたであろう色彩色豊かな音色。
正直、今まで聴いたどの音とも違っていて、ピアノって本当はこんな音がするんだ?!と驚いてしまいました。
こんな音は聴いたことがありません。。
聴いていると様々な感情を呼び起こしてくれる音色です。
それがときには辛く感じることもあるんですけど、この音楽の前から立ち去りたくない。
ずっと聴いていたいと思わせてくれます。
2つめは深い響きのするフォルテ。
彼がフォルテで弾いたときの音色はなぜこうも深く雑味のない透き通った音なんでしょうか。
特に和音の各音のバランスが抜群で、あんなバランスで音が鳴らせるんだ…と何とも言えない幸福感に包まれます。
わたしは音色の悪いフォルテがすごく苦手で、ドラムセットのバスドラムの音が汚いと本当に聴いていられなくなるんです。
聴きたくても、胸が苦しくて気分が悪くなって聴けなくなっちゃう。
フォルテという強弱記号の意味は、音楽の教科書には「強く」と書いてありますが、ただ強いだけの音は衝撃音や打撃音であり、音楽ではないんですよね。
でも、ソコロフのフォルテは様々な色使いでわたしを魅了してくれます。
最後は、全くエゴを感じさせない演奏です。
演奏していたら、自分の存在を出したいと思う演奏者も多いかもしれません。
ソコロフが演奏する作品は、どれも本来そう演奏されるべきであったかのように自然に聴こえるんです。
そこには全く彼のエゴが感じられない。
音楽がそこにそう存在したいと言っているかのようなんです。
だから、いつまででも聴いていたいと思ってしまうんでしょうね。
彼のHPには来年の7月までヨーロッパ各地で行われる公演の予定がビッシリ詰まっています。
今回ソコロフのことが気になって、当然ウェブで色々と調べようとしたんですが、全然情報が出てきませんでした。
正直こんなに素晴らしいピアニストの情報がなぜ日本語でここまで出てこないのか?とびっくりしたんですけど、どうやら日本であまり目立つ形で紹介されていないみたいです。
こんな情報がHMVのディスク紹介にありました。
1966年、弱冠16歳にしてチャイコフスキー国際コンクールで優勝、1968年に初来日し、各地でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾いているので、当時のことを覚えている方はいるかもしれない。
それ以後も何回か日本を訪れており、演奏に接した人たちの間での評判は上々だった。現在は西欧を中心にマイペースの活動を行ない、その名声はすでに不動の高みに達している。にもかかわらず、日本で目立つかたちで紹介される機会はなく、情報が増えない。
はっきりいえばマイナー扱いされている節すらある。
しかし、現代最高峰のピアニストに対するこのような状況も今後は変わっていくに違いない。
http://www.hmv.co.jp/news/article/403010090/より引用
なるほど。。
彼は飛行機も苦手みたいなので日本にもう来ることはないかもしれませんが、もし聴ける機会があるなら必ず聴いた方が良い奏者であることは間違いありません。
ソコロフの演奏をもっと聴きたい人は
本当はこのCD+DVDをオススメしたかったんですが、日本のamazonでは上手く見つけられず…
フランスのamazonでは普通に取り扱ってるんだけどなぁ。
日本ではこちらのCDなどが簡単にお求めいただけるようです。
ちなみに、ソコロフの音楽はamazonのprime musicでも沢山聴くことが出来ます。
初日30日は無料なのでお試しで聴くだけでもぜひ。
まとめ
お気に入りの音楽と出会えることは、本当に、とにかく幸せを感じます。
音楽を聴いて、感動して、気分が晴れやかになって、、いろんな感情を感じることが出来るからこそ、いま、わたしはここで生きているんだと実感出来るんです。
最近ずっとベットの上で生活する日々だったので余計に思うのかもしれませんが、毎日寝ている時間が長いと心も自然と穏やかになるし、何かにひどく怒ったり不機嫌になることもありません。
体調の回復を一番に望んでいるからです。そして、回復のためには徹底的に休むのが一番だとも分かっているからです。
ただ、芸術に触れたときは様々な感情と出会うことが出来るんですよね。
わたしはかなり感覚的な部分があって、好きな音楽に出会った時に『どういう部分が好きか』というのを感覚に任せてあまり言語化してこなかったと思うんです。
多分、それはあまりまだ得意ではないかもしれません。
でも、これまでブログを書いてきて思うのは、どれだけ苦手なことでも、1年続けていれば何らかの変化はあるということ。
それに、何か伝えたいことがあるときにこそ、人は言葉を学んでいくのだと思うんです。
同じようなことを、ほぼ日手帳の永田さんがつぶやいておられました。
ことばは、知ることではなく、つかうことで増える。意味をなぞるのではなく、本心を伝えるときに増える。それっぽくまねるのでなく、やむにやまれず出てくるときに増える。部屋で考えているときではなく、外で新しい何かに出会ったとき増える。少し恥ずかしいときに増える。勇気を出したときに増える。
— 永田泰大(ほぼ日) (@1101_nagata) 2017年12月9日
そして、矢野顕子さんは「英語」をそうやって学んんできたとも。
私は英語をそうやって学んで来ました。今もね。 https://t.co/3AzSUsB4Lv
— 矢野顕子 Akiko Yano (@Yano_Akiko) 2017年12月9日
この言葉は最近フランス語や英語学習について思っていたことでもあったので、すごく腑に落ちました。
どうしても言いたかったけど、上手く言えなかったことは後で調べて言えるようにするし、常に使う言葉は嫌でも話せるようになる。
文章を書くということは本業ではないけれど、うまく言語化できない感覚を言語化しようとすることは、きっと音楽や人とのコミュニケーションにも繋がることだと思うので、ちょっとずつ音楽家や楽曲のこともこのブログで書いていこうと思います。
わたしは、ようやく腰が治ってきました。
みなさんもお体にはお気をつけて。