3月11日という日がやってきました。
今日この日を迎えて、石巻を訪れたときのブログ、写真、当時の動画などを見ていました。
この文章は、いまスペインのマヨルカ島という場所で書いています。
丘の上にあるホテルから水平線を眺めながら、宮城県女川町にある『女川町地域医療センター』から見た景色を思い出しました。
そして、その高い丘の上まで来た津波のことも。
わたしは5/4に大阪で開催される『東日本大震災復興チャリティーコンサート』に出演するために帰国します。
コンサートに出るためだけに、日本に帰るの??
と思われる方もいるかもしれません。
でも、その決断はやはり間違ってなかったのだと今あらためて感じています。
きっかけは、去年パリのシャンゼリゼ劇場で辻井伸行さんのピアノリサイタルのアンコールで演奏された『それでも、生きていく』の演奏前のことでした。
辻井さんが曲の説明をされると、会場の人々は『Oh…』と声を漏らしました。
みんな、あの震災の出来事を知っているからです。
ただ、そのとき思ったのは「震災が起こったこと」は知っていても、「いま被災地がどうなっているのか」を知っている人はほとんどいないのではないか?ということ。
そして、わたしは日本人として被災地のいまを語れないんじゃないか?という思い。
ウェブで探せば色んな情報は出てくるけれど、それは誰かのフィルターを通した情報です。
全部じゃなくていい。ちょっとでもいいから、被災地のことを自分の言葉で語れる自分で在りたいと思っていて、でも、いまのわたしにそれは出来ないんじゃないか?
そんな風に思って、今年のコンサートに参加することを決めました。
このコンサートは2011年から毎年GWに行われていて、出演者は全員5000円の義援金を払って参加します。
コンサート開催にかかる費用をのぞき、チケットの売上はすべて寄付されます。
東日本大震災復興チャリティーコンサートのこれまでの義援金総額は4千2百6万5308円になります。
日本へ帰ることができて、日本語で話すことが出来るわたしは、きっとパリに住んでいるフランス人には出来ない何かが出来るはず。
日本を離れて、コンサートの最後に歌われる、『石巻・わがふる里』は石巻市出身の作詞の石田邦彦氏と作曲の和泉耕二氏がつくられた曲についても、あらためて思うことがありました。
景色が浮かぶ歌詞、クラシック・ポップス・演歌が混ざったような興味深い曲調。
自分の愛する故郷が姿を変えたとき、どんな思いでこの曲を作られたのだろう。
そんな風に思いながら、何度も演奏を聴きました。
風に舞う 桜の花に
一時(ひととき)の心 まどろむ
坂道で ふと振り向けば
町並みも 今花模様
この町に 生まれて育ち
いくつもの 山々を行く
花 花 満開の花
石巻 日和山 わがふる里夏の子が 水辺で遊び
釣り人も のどかに憩う
空に咲く 大輪の花
胸躍る 夜空の仕掛け
この町に 生まれて育ち
時を経て 豊かに生きる
河 河 悠久の河
石巻 北上川 わがふる里山にあり 田の中にあり
思い出の あの学舎よ
それぞれの 過ぎ去りし日々
振り返る 四季の絵の中
この町に 生まれて育ち
先を行く(逝く)友びと思う
夢 夢 青春の夢
石巻 熱き友 わがふる里
いつも演奏しているだけだったけど、今年は歌詞も歌えるように練習してみます。
今日を迎えて心に感じることがある人の中には、以前のわたしのように心に抱えるものをどうしていいのか分からない人もいると思います。
震災が起こってから、わたしはしばらく被災地に行きませんでした。
忙しいとか、お金がないとか、いろんな行かない理由を並べていました。
自分に何が出来るか分からなくても、何も出来なくていいから、行ってみれば良かったのだけど。
そのときのわたしはそれが出来なかった。
でも、3月11日がくるたびに心にモヤモヤするものがあって。
それを形に出来たと思ったのがこの『東日本大震災復興チャリティーコンサート』の存在でした。
1人1人が音楽を奏でることで、大きなパワーとなり、それが、被災地の未来ある子供たちのために使われる義援金になる。
義援金だけを集めたいわけじゃなくて、被災地には行けないけれど、何かしたいと思ってる、という人がたくさん来てくださったら嬉しいです。
チケットは3000円と2500円の2種類。
下記のHPから購入できます。
http://www.eonet.ne.jp/~imura/vacancy.html
ですが、もしわたしの思いを知って『コンサートに行こうかな』と思ってくださった方は、当日、開場前に直接チケットをお渡ししたいと思っていますので、このサイトのお問い合わせかFaceBookやTwitterのメッセージで連絡をください。
どこにいても、想うことは出来る。
あなたと、想いをいっしょに重ねることができたらわたしはとても嬉しいです。