音を響かせるために有効な教本はありますか?という質問に対する答え

質問箱でこんな質問をいただきました。

まず結論から言うと、わたしは響く音を出すために教本を買おうとは思いません。

なぜなら、教本はテクニックをつけ、表現力の引き出しを増やしより豊かな演奏をするためにあると考えているからです。

もちろんその試行錯誤の中で、響く音が出せるようになることはあるかもしれませんが、ただ教本に取り組むだけでは難しいでしょう。

わたしも質問者さんと同じように、響く音が出したい!と思って試行錯誤することはもちろんあるので、わたしが『響く音を出したい』と思っているときどうするか?まとめてみました

1.楽器の状態をチェック

まず、楽器の状態をチェックします。

学校の楽器の場合、どうしても調子が狂いやすいことがよくあります。

そして、購入されてからいろんな人が楽器を吹いているので本来の楽器の調子やベストな状態が分かりにくいこともあるでしょう。

楽器の状態はプロに吹いてもらって確認してもらうのが一番ですが、何かおかしいな?と思ったらすぐに調整に出しましょう。

何も悪くなっているところはなくても、特に楽器が響かないと感じている音域があるのであればそれを修理のときにリペアの方にしっかり伝えるようにしましょう。

何か改善策を提示してくれたり、実際に修理される際にその意見を反映させてくれるはずです。

2.セッティングの状態をチェック

次に、マウスピース、リガチャー、マウスピースパッチなどの状態を確認します。

特に、クラリネットは吹き口に近いほど全体の音に大きな影響があります。

いまの楽器の響きにどうしても満足できない場合は、楽器店に行って新しいマウスピースを試奏してみるのもとても良いと思います。

同じ商品でも、マウスピースやリガチャーはそれぞれ少しずつ違います。

また、マウスピースパッチの種類や面積を変えるだけでも吹奏感や音色に変化があるので、響きのある音を出すのに一役買ってくれるはずです。

詳しくはこの記事に書いているので、ぜひ読んでみてください。

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また、スイングチップもおすすめです。

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プロオーケストラでバスクラを吹いておられる方も使用されている例を楽器店の方から聴きました。

小さいサイズで十分効果あるので、試してみてください。

質問者さんはバスクラを吹いておられるということでしたが、わたしは気に入っているマウスピースとリガチャーを使っていて、音の響きに悩んだ時はリードとエンドピンを変えました。

もしマウスピースとリガチャーに満足していないのであれば、一度試奏してみることをおすすめします。

特にエンドピンは大きく吹奏感を変えてくれるし、音にも影響があります。

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バスクラは息の量もいるし、わたしはもともと薄めのリードが好きなので硬さは3のリードを使っていました。(B♭管を吹く時は基本的に3半を削って使っています)

また、レジェールというプラスチックのリードを使っていたこともあります。

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これらはすべてわたしのなかに希望の吹奏感と音色があったからこそトライできたことです。それが曖昧な場合は、まずは色々吹いてみてどんな状態が自分に合っているのかを掴むようにしましょう。

3.リードの状態をチェック

クラリネット吹きにとって避けては通れないのが、リードですよね。

リードが自分にあった状態でないと、響く音は出ません。

薄いのが良いとか、厚いのが良い、ということではなく、自分の望む吹奏感(軽め、重め)と楽器のセッティングに合うリードの状態にすることが大事です。

たまに、『厚いリードを使ったら、響く音が出ると思って・・』と厚すぎるリードを使って吹いている人がいますが、例えば、憧れの人と同じ楽器、同じセッティング、同じリードを使ったとしても、同じ音が出せるとは限りません。

それは人それぞれ体格も違い、同じ品番でも楽器やアクセサリーの状態も違うからです。

わたしが習った師匠の中には、リードを削らないという人もいましたし、それは人それぞれ考え方がちがうので、削るのが良い、削らないのが悪い、というわけではありませんが、リードのどの部分が薄いと音が出やすくなるのか、どの部分を削ればどんな変化があるのか?ということは知識として知っておいて損はないと思います。

リードの状態が安定すれば解決することもたくさんあるので、リードの削り方が気になった人は、わたしのレッスンやスカイプレッスンを受けてもらえればと思います。

4.響く音を出そうとするときの自分をチェック

楽器の状態、アクセサリーの状態、リードの状態をチェックして問題がなければ、最後は自分自身をチェックしてみましょう。

まず、響く音を出すためには、適度な息の量が必要ですが、ここで大事なのは、あくまでも『適量』であり、『たくさんの量』ではないということです。

やみくもに「たくさん息を吸おう、たくさん息を吐こう」と思うのではなく、頭の中で自分の出したい音のイメージと、それを吹いているときの自分の姿をイメージして演奏しましょう。

響く音が出せない!〜ができない!と考えているとき、人間の体はどうしても緊張して萎縮してしまいます。

そう考えるよりも、やさしくなめらかに響く音が出したい!と思った方が、体もほぐれて呼吸もしやすくなります。

心と体はいつも密接な関係にあるので、楽器を演奏するとき、望む状態があるときはいつも前向きな気持ちを持って演奏するのが大切です。

もちろん、わたしもすごく落ち込むこともあるし、やる気が出ないな、と思う時もあるのですが、しんどいときでも、出来ることをすれば大丈夫。

自分はダメだ、全然うまくならない、とずっと自分を責めているのは望む状態へ近くには遠回りになっちゃうので、前向きにいきましょうね。

さいごに

響く音を出したい!と言っている人の中には、すでに響く音を出せている人ももちろんいます。

ただ、自分がどういう音を出せているのか分からなかったり、自信がない人も多いように思います。

他にも、ある一定の音域の音は響いていると感じられるけど、そうでない音域は吹くのも嫌…と思っているとその音域が途端に響かなくなったりしていることもあります。

それを改善するには、まずは楽器の状態、そして、次に自分が無意識に苦手意識を感じている心理状態を良くすることが大事です。

まずは、自分の音の中で「一番響いているな」と感じる音を探してみましょう。

そして、その音につながるように、前後の音を吹いて響きがつながるように意識して吹いてみましょう。

最初は少しずつで大丈夫です。

一気に進歩しようとすると焦ってしまいますが、楽器の上達というのは目に見えることばかりではありません。

記憶の定着にはメカニズムがあり、定着させたい知識や演奏は、覚えた日=つまり1日目や2日目にすぐ効果が出るわけではなく、3日目に効果が出ます。

こういう脳の仕組みに関する知識を持っておくとスケジュールの組み方も変わってきたりするのでとっても便利です。

これを知っているだけで1日目や2日目に焦らないですむようになったし、ちゃんと休めるようになりました。

焦らずに、何かを足す(今回の場合だと教本をやる)のではなく、まずは今あるものの状態をチェックして一番良い状態にしてみることから始めてくださいね。

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この記事を書いた人

株式会社Locatell代表取締役社長 / 一般社団法人福知山芸術文化振興会 代表理事 / プロのクラリネット奏者としての活動を2023年9月で休止し、起業家として芸術文化・まちづくり・海外を軸に複数の事業を展開中

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