コンテンポラリーミュージックとオーケストラのコンサートが終了しました

10月の初旬にコンセルヴァトワールに入学し、11月が終わるまでに2つのコンサートがありました。

1つめはオーケストラのコンサート、2つめはコンテンポラリーミュージックのコンサート。11月の最後の2週間はコンサートのリハーサルとクラリネットのレッスン、そしてジャズのインプロのアトリエ(グループレッスン)も始まったこともあり、バタバタとした日々を過ごしていました。

オーケストラのコンサートは毎週1回あるオーケストラの授業を受講している生徒たちで演奏するもので、全員で60人くらいのメンバー。レベルは問わないクラスなので10代~50代くらいまで様々な年齢の生徒がいます。

コンサートは2回公演で、演奏したプログラムは2回とも同じ。フランスの作曲家・Philppe LEROUXの現代曲C.Debussyの「ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲」と「夜想曲」を演奏しました。

コンサートはなんだかポンピドゥーセンターを思い出すような内装デザインのホールで行われました。

ちなみにポンピドゥーセンターはこんな感じ。パリの歴史的な街並みの中に建つ近代的な建物です。

残念ながらこのオーケストラのクラスで例えば同じ旋律を演奏している誰かと意思疎通できている感じを感じたり、同じ音程になったときに音程をピタッと合わせようとする意識を感じることはほとんどありません。

そういうことに意識して演奏する感覚を今まで共演した素晴らしい音楽家の方々が「音」で教えてくれたように思うのだけど、レッスンを受けて学んだというよりも現場で学んだ部分が多いなぁとふと思っていました。

クラリネットはソロや目立つ旋律を持つ部分も多く、指揮者の先生のフランス語を聞き取ったり、同じパートの2ndのメンバーとコミュニケーションをとることは常に要求されるので、オーケストラの授業はフランス語の勉強やフランス語でのコミュニケーションに役立つと感じています。


実際コンセルヴァトワールに入ったことで語学学校へ行っていた頃よりもたくさんフランス語を話す機会も増えたし、音楽関係に必要な言葉を学べているのはすごく嬉しいです。

語学学校の授業というのはカリキュラムが決まっていて、それに沿って進んでいくわけですが、わたしはそれをうまく活用してフランス語のレベルを上げることが出来ませんでした。実際に語学学校に通っていたときに得た内容は今のわたしの生活にほとんど生かされてなくて、役に立っていると感じているのは家庭教師の先生に習ったことばかり。

これは楽器に例えると個人レッスンとグループレッスンの違いというと分かりやすいと思うのだけど、個人が抱えている細かい問題を解決するにはやはり個人レッスンが一番適していると思うし、それは語学でも一緒だなと思う。もちろん、その人が何を目指しているのか?という「目的」にもよるけれど。

毎日自分のフランス語や英語に一喜一憂するけれど、凹み続けている時間や、勉強を止める時間なんてない。必要なのは毎日知らない言葉を見つけたらすぐに辞書で調べたり、知らないことを少しでもなくす努力をすることしかありません。

今回の本番では日本、韓国、フランスと様々な国の生徒が混じって演奏したんですが、そのときにうまくコミュニケーションが取れるかがすごく大事なんだなと思いました。

私の学校にはいろんな人がいて、英語は話せるけれどフランス語は話せない人、フランス語でのレッスンが難しいため英語でレッスンを受けている人もいます。これはよくある光景で、他のコンセルヴァトワールでも同じようなことがあるそう。

でもDELFB1レベルの資格が必要なコンセルヴァトワールもあることから分かるように、フランスで音楽を学ぼうと思った際にフランス語をある程度のレベルで習得しているということは、より深く音楽を理解する上でとても重要なこと。

もちろん私も話せないことはまだまだたくさんあるけど、たとえば練習のときに「こんにちは」「元気?」と聞くだけでもいい。そういう何気ないコミュニケーションが音楽をつくる上でも役立ってくると思う。

コミュニケーション能力に関しては、特にコンテンポラリーミュージックのコンサートの本番に向けて色々と考えさせられました。

同じコンセルヴァトワールに通う作曲専攻の生徒たちが書いた曲を演奏したんですが、作曲家の人たちがどんな風に曲の意図を伝えるのかによって、演奏者の意識も変わってくる。演奏者への声かけが丁寧な作曲家に対して、またその作曲家の作品に対して好感を抱くのは自然なことだし、実際にうまくコミュニケーションが出来ない人の作品をよりよい方向へ持っていくのは、演奏しているのが全員プロならもちろんどんな状況でもベストな演奏をするべきなんだろうけど、今回は少し難しかったように思います。。

また、コミュニケーションというのは普段どんな言葉を交わすか、どんな態度でいるかということに加えて、練習開始時間にちゃんと間に合うように集合したり、自分のパートをしっかり練習してくるとか、そういうことも本番をつくる過程においては大事なこと。

こうやって書いていると、私に足りない部分に沢山気づくし、本当に人間力を鍛えられることばかり。

音楽を追求していくことは、人間力を磨くことでもあるんですね。

目指す演奏家像に近くために色んな部分を高めていきたいと思います。

最後に、やはりコンサートの本番というのはいつもと違う緊張感が漂うもので、予測不能な事態が起こったり、本番に指揮者の指示がいつもと違うこともあるし、一緒に演奏するメンバー、そして私自身の演奏もいつもと違う場合もある。
でも、演奏家はいつでもベストの状態が出せるよう準備しなければなりません。

そしてベストな状態を出すためには心の状態もとても大事で、スケジュールが詰まっていたとしても毎日やるべき基礎練習や英会話レッスンなど、冷静な精神状態を保つための日々のルーティンの大切さも実感し、本当に多くのことを学んだ2週間でした。

コンテンポラリーミュージックのコンサートでは2曲演奏したんですが、そのうちの1つに「荒城の月」の旋律を用いた作品があり、7人の演奏者のうち4人は日本人でした。


左からさくらちゃん(Harp)、はるかちゃん(Soprano)、まゆかちゃん(Violin)、わたし

終演後、特殊奏法を用いた難解な曲を一緒に演奏したメンバーで一緒に写真を撮りました。

みんなホッとした顔してますね(笑)

帰り道はこの4人で色々話しながら帰りました。

来週はロンドンでお仕事、再来週はまた小さいオケの本番とバタバタした日々が続きますが、より充実した日々になるように頑張っていこうと思います。

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この記事を書いた人

株式会社Locatell代表取締役社長 / 一般社団法人福知山芸術文化振興会 代表理事 / プロのクラリネット奏者としての活動を2023年9月で休止し、起業家として芸術文化・まちづくり・海外を軸に複数の事業を展開中

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