10年ぶりに音大生活を送る上で心がけていること

今月からコンセルヴァトワールに通い、10年ぶりに学校生活を送るなかで、音大時代に感じていたコンプレックスや心残りに感じていたことをたくさん思い出しています。

ほとんど忘れてたけど、ふと思い出すこともあり、せっかくもう一度大学生活を送れているのだから今回は違う姿勢で取り組みたいと思うようになりました。

もし大学生活を終えたあとすぐにコンセルヴァトワールに通っていたらぜんぜん違った感情を持っているかもしれません。

でも、音大を卒業して1年非常勤講師をして、フリーランスとして8年演奏活動をやってきたからこそ「これは気をつけたいな」と思って臨んでいることもあるので、すこし書いてみようと思います。

周りの目を気にしすぎない

わたしの学年はクラリネットの生徒が大学と短大を合わせると30人くらいいました。

音高に通っていた人、東京芸大を受験したけど落ちた人、親がクラリネット奏者の人、吹奏楽部で全国大会に出場した人、、

みんな同い年なのに全然違う人生を歩んできていて、ものすごくキラキラして見えた。

一方わたしには高校時代に音大受験のための場慣れとしてソロのコンクールを受けたことはあったけど、勝ち残れたことはなかったし、吹奏楽コンクールでも銀賞をもらっただけで、キラキラして見える友人たちのような「なにか」をわたしも持っているとは思えませんでした。

それなのに吹奏楽の授業でなぜかコンミスに指名されてしまい、心のなかで「キラキラした友人たちに恥を見せたくない。わたしに友人たちのような力がないということがバレませんように」と願っていました。

あのとき、間違っても恥かいてもいいから、周りの目なんて気にせずにできることを全力でやったり、分からないことは周りの友人に聞けば良かったのになと思う。

周りの目が気になるようになったのはいつからだろう?と考えたとき、わたしはあまり思い出せなかった。でも、「うまくやらなくちゃいけない」という思考がいつからか強くなりすぎて弱いところを見せることは負けだと思ってた。

そんなこと全然ないのに。

適切な場所で必要な人の力を借りるってすごく大事なことだし、自分の弱さを認められている人はそういうことも自然に出来てる気がします。

わたしはずっと弱い自分が嫌だったし許せない時間が長くあって、音大時代もそうだったから、随分と遠回りしたなぁと感じています。

チャレンジすることを恐れない

音大時代にアンサンブルでは学内のオーディションにチャレンジしたり学外のソロコンクールにチャレンジしたことはあったんですが、「ソロ」でのチャレンジをもっと増やしておけば良かったなという気持ちがあります。

それは、どんな編成で音楽をやるにしても、まずは個人としてソロの力が重要だからです。

プロになってから失敗すると、場合によってはもう二度と仕事に呼ばれないこともありますが、学生時代に失敗しても即仕事がなくなったりすることはありません。

これってすごいことだし、だからこそどんどんチャレンジしていったほうが良い。

難しいと感じること、たいへんだと思うことほど演奏力と精神力を大きく伸ばしてくれます。

自分の可能性を諦めない

音大時代、自分の可能性を勝手に決めつけて「あれは出来ない」「これは無理」と思い込んでいたことが沢山ありました。

また、入学してすぐに言われた「あなたたはソリストとしてやっていけないからアンサンブルをやりなさい」という言葉がずっと頭から離れませんでした。

今なら、大学1年のときのレベルなんてそのあとどんな練習をするかでどんどん変わっていくので、将来の可能性を断定するこの一言はものすごくナンセンスだし、誰かにショックなことを言われても、それを真に受けて凹むことはない!って思えるけど、、当時は出来ませんでした。

自分の可能性を疑うときって、チャレンジしたけど失敗したときか、周りに否定的なことを言われたときか、自己否定のループから抜け出せないときが多いんじゃないでしょうか。

でもね、自分の可能性を疑ったり否定したりするのって、たのしいですか?心がウキウキして、もっと音楽やりたい!って思えますか?

、、なかなか思えないですよね。

だったら『自分の可能性はないのではないか?と考える必要はない』です。

本当にシンプルにそう思う。

それだったら『どうしたら自分の可能性を伸ばせるか?』って考える。

今より少しでも上手くなりたい!って思うのが普通だし、プラスの気持ちで考えた方が心は楽だから。

音楽をやる上で実力を伸ばすのも大事だけど、健康的な精神状態でいられる考え方を身につけることもものすごく大事だなって思います。

「ゆるす」という選択を知る

自分のことも、他人のことも、感情の行き場に困ったら「ゆるす」という感情にカテゴライズしてあげるとすごく落ち着けることがあります。

人に対する感情は次のうちのどれか。

・好き
・嫌い
・無関心
・ゆるす

もしかしたらこれを読んでくれている人の中には「自分の可能性を否定した方が頑張れる!」っていう人もいるかもしれないけど、そうでなければそもそもそれをする必要はないし、誰かに自分の可能性を否定されたときは、その人のことを赦してあげてね。

その人のことを「自分のことを思って言ってくれてるんだから、受け止めなきゃ」って思う必要もなければ、その人のことを好きになったり嫌いになったりする必要もありません。

また、自己否定ばかりしてしまう、そんな自分が嫌だ!と思っていて、どうしても自分を好きになれないって人は一度自分をゆるしてあげるといいんです。

自己否定してしまうことに対して悩んでしまう人の多くは自己否定している自分が許せなかったり、理想とする自分は自己否定をしていないので理想と現実のギャップに苦しんでしまうことが多い気がします。

「自分を否定してしまう自分をゆるす」それだけで心は軽くなります。

自分や他人に対して、好きでも嫌いでも無関心でもない、慈悲の心を持ってみると今まで以上に人間関係は楽になると思います。

さいごに

音大時代のわたしにここに書いたことを言って、もしかしたら「でも自分のことを信じられない」「できないよ」って言うかもしれない。

それは自分の価値観や性格(というより思考のくせ)を変えることが難しいと思ってたから。

でも、脳科学や潜在意識に関する本を読んで知識をつけたから、いまはそれらを変えることを難しいとは思いません。

今までの人生のなかで、だれかの感情にまかせた言葉に傷ついたこともたくさんあったし、その言葉によって自信をなくしたり人生を悲観することもありました。

でも過去のことは過去のこと。
「過去の自分はこうだったから、、」とか「いつも自分はこうだから、、」と過去を加味して未来を見る必要はないんです。

これから生きる未来だけを見ることが出来れば、人生を生きるのはより楽しくなります。

もちろん辛いこともあるけど、去年心が死んでて楽器から離れたときがあったけど、音楽から離れてもやっぱり辛いなって感じることはあって。。

どんな人生をえらんでも、辛いことはあるし、それなら自分の好きな音楽のなかで辛さを感じる方がいいなと思うようになってから、やっぱり音楽と共に人生を歩み続けていきたいと思う気持ちが強くなりました。

2度目の大学生活、こんな気持ちで前向きに過ごしていこうと思います。

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この記事を書いた人

株式会社Locatell代表取締役社長 / 一般社団法人福知山芸術文化振興会 代表理事 / プロのクラリネット奏者としての活動を2023年9月で休止し、起業家として芸術文化・まちづくり・海外を軸に複数の事業を展開中

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