パリで開催中のジャポニスム『深みへー日本の美意識を求めてー』展へ行ってきました。
会場のロスチャイルド館、外観だけでなく内装も美しかったです。
ここで沢山の心惹かれる作品に出会うことができました。
伝統と現代、混沌と形式、永遠と一瞬、2つで1つとなることー「日本の美意識」がひらく共存、共創への可能性。
..という副題も付けられてたんですが、これって普段の日常でも言えることですよね。
希望と絶望、自信と劣等感など、相対するものが同時に存在するからこそ美しいし、それぞれが共存しているのが当たり前というか自然で、だからこそ美しく輝くのだなぁと。
印象に残った作品
今回の展覧会で印象に残った作品は2つ。
まず1つめは、名和晃平氏の「Foam」
地下の部屋に展示されてるんですが、階段を降りながら、徐々にその独特の世界の深みへと誘われます。
この作品は泡で出来ており、会場には風も吹いていたので少しずつ形を変えているようでした。
もう1つは床に敷かれた李禹煥の作品「Relatum Dwelling(2)」
この粘土岩は場所によって意図的に段差が作られている場所があります。
そこを踏むとゴツっと音が鳴るんですが、踏んでみないと分からない体験が面白かったし、その場に居合わせた人たちによってつくられる「音」や「音楽」を楽しむことができました。
展示されていた作品たち
入ってすぐの場所にあったのは、宮田亮平の「鐘」
カーペットの上に描かれた大巻伸嗣氏の作品「Echoes Infinity,Moment and Eternity」
ちょうど吹き抜けになっている部分に作品があるので、独特の開放感がありました。
国宝の火焔型土器(左)と王冠型土器(右)
ファッションデザイナー・森永邦彦氏が20設立したアパレルブランド「ANREALAGE」と彫刻家・名和晃平氏がコラボレーションして製作された洋服が2つありました。
これはデニムを貼り合わせたキューブをグラインダーという研削盤で彫ったものだそう。
ちなみにグラインダーってこんなやつです。
紀元前2500年〜3500年頃の土器の破片。
杉本博司の様々な国の海を撮影した写真たち
2階に上がる途中、階段で須田悦弘の「朝顔」が咲いているのを見つけました。
2階も豪華なタペストリーが飾られており、開放的で美しい空間が広がります。
上から大巻伸嗣氏の作品を見るとこんな感じ。
Shinichi Sawada氏の陶器
思わず笑顔になってしまう作品たち。
葛飾北斎の浮世絵もたくさんありました。
身延川裏不二(みのぶがわうらふじ)
浮世絵はジヴェルニーのモネの家でたくさん見たなぁ..とふと思い出しました。
浮世絵を初めて見たときのフランスの芸術家たちの衝撃は、どんなに大きかったのだろうと。。
武州玉川(むさしたまがわ)
神奈川沖浪裏
今回の展覧会では写真撮影禁止のものも多く、楽しみにしていた伊東若冲の作品、田中一村の花鳥画やゴーギャンの木版画などは残念ながらここではお見せできないのですが。。
それぞれ異なるものが共存していることで創り出される新たな雰囲気はとても興味深いものがありました。
新しいものと古いものが共存すること、それによっておこる化学反応。。
同じものや似たものを合わせるだけでは出来ない空間でした。
さいごに
鑑賞後はすっかり作品たちに圧倒されてしまったので、美術館裏の公園で一休み。
また、このブログを書くにあたり現代の日本人アーティストについて調べていたんですが、去年友達と行ったメッスのポンピドゥ・センター・メッス(パリのポンピドゥ・センターの分館)で見た展示が、実はジャポニスムに先駆けて行われていたものだと初めて知りました。
このとき、展示の鑑賞はしたものの『日本人として』何かを感じることが少なかったような気がします。
もちろん印象に残っているもの・・チームラボの展示などもあるんだけど、その時よりも確実に日本人のつくるアートへの関心が高まっています。
また、今回触れたものがそれぞれ『その人にしか創り得ないもの』だということを感じ、わたしは鑑賞しながら自分の創り出すものについて考えさせられました。
研ぎ澄まされたものを創るために、いまは目の前のことに集中して取り組んでいくということが必要なんだなと。
ジャポニスムの展示や舞台などはあらゆる場所で行われているので、なるべく足を運んでみようと思います。