クラリネット奏者であり、作曲家でもあるPierre Dutrieu氏(以下ピエール・デュトリュー)のレッスンを受けてきました。
曲はプーランクのクラリネットソナタ。
なぜPierre Dutrieu氏にレッスンを受けることになったのか?
ピエール・デュトリュー氏のことはわたしは最初知らなかったんですが、これまでに何度かレッスンを受けているパリ管の首席奏者・パトリック・メッシーナ氏の紹介でした。
ピエール・デュトリュー氏は現代音楽の作曲もされる方で、最近パトリックに新曲を書いたようでした。
2人はとても仲の良い友人だそうです。
プーランクの「クラリネットソナタ」曲の解釈に関して
わたしはパリに住んでいる間に出来るだけフランスの作曲家の作品をフランス人の方にレッスンしていただいたいと考えているので、基本的にフランスの作曲家の作品を持っていくようにしています。
今回のレッスンでは、フランス人がフランス人作曲家の曲をどう捉えているのかを知れるのは本当にうれしいことだと改めて感じました。
<曲の解釈に関して>
1楽章のタイトルになっているtristamenteは主題が始まった部分からのことを示しているので、1楽章の冒頭はブライトに。
いつくか音ミスがあると指摘していただきました。
1楽章最後のトリルの運指はド#の指を押さえている状態で左手人差し指を動かす方法もあるけれど、ド#の指を押さえている状態で左手中指をあげて右手でトリルする方法もあると教えていただきました。
2楽章の複符点がついているリズムは時計のように正確に演奏する。(123タタタ〜といつも意識しておく)
音が繋がりやすくなる運指を教えていただく。(楽譜で星マークをつけているところ)
3楽章も1楽章の冒頭と同じように輝く感じで、アクセントをしっかり強調する。
一番最後の16分音符の部分は、音が繋がりやすくなる運指を教えていただく。
レッスン全体をとおしての感想
全体的な音楽の作り方はわたしが考えていた方向で良かったようでしたが、フォルテの部分の音楽がすごく変わりました。
こんなに吹いてもいいのか…!と驚いたくらい。
また、1楽章や2楽章の複符点の絡んだ弱い(ピアノの)部分、は常に右手で楽器を上の前歯に押し上げるようにするようにアドバイスをいただきました。これ、むちゃくちゃ吹きやすくなります。
右手親指の扱い方について受けた指導は別の記事にまとめたのでぜひ見てみてくださいね。
レッスンでアドバイスいただいたことまとめ
曲の解釈以外の面では下記のようなアドバイスをいただきました。
それぞれその場でやってみるとすごく演奏も変化することばかりでした。
・右手親指の位置
・どんな場所で演奏していても常に大きな空間で吹いているように意識して音楽をつくること
・fの部分はもっと息圧を上げて演奏する(その際に下腹部でしっかり支えて演奏すること)
・マウスピースをBD5にしてからアンブシュアを調整していたことを話すとアンブシュアに関しては良い形だと言っていただけた。その上で、下唇を少し内側に巻いてみるとさらに音の輪郭がはっきりするよ、とアドバイスをいただいた。
まとめ
演奏が変わる瞬間を味わえる喜びは何歳になっても嬉しいもので、彼の的確なアドバイスのおかげで、また自分の演奏の可能性を知ることができました。
アンブシュアや運指なども入念にチェックしてくれますし、彼の探究心や観察力はとてもすばらしいので、すごく刺激も受けました。
また、彼が15年かけて執筆し昨年の暮れに出版した『technique contemporaine de la clarinette』を購入したのですが、これは一生使える素晴らしい本です。
この分厚さを見ていただければ彼の熱意は伝わるはず。。。
パトリック・メッシーナともいろんな運指を探したと言っていましたが、彼の研究した様々な運指も掲載されています。
日本にいる人もオンライン版は35ユーロで買えるのでぜひチェックしてみてください。
この先生にレッスンを受け続けたらどんな世界が見えるのかなぁ?と思うことが出来ました。
今後はただ習うだけでなく、曲の解釈に関する議論をもっとしても良かったような気がしたので、そこは改善していきたいと思います。