フリーランスの音楽家になる人に届けたい10のこと

フリーランスで音楽家として活動するって不安になることも多いですよね?

わたしも10年前、同じように不安な気持ちでいっぱいでした。

  • 毎月必要なお金はどうして稼いでいこう?節約するにはどうすればいいの?
  • せっかく音大出たのにバイトしながら演奏活動してたら周りの人に何か言われないかな?
  • どうやってお仕事を見つければいいんだろう?
  • 開業届って出さなきゃいけないの?

などなど、わたしが10年前に不安に思っていたことをまるっとまとめてみました。

1.お金で損をしないために漫画で勉強しよう

最初に何を紹介するかすごく迷ったんですが、まずこの本を読むのと読まないのとでは安心感が違うと思います。

フリーランスで活動する上で、大切なことは本当にたくさんありますが『お金の問題』はずーっとついて回るものだし、心の状態にも大きく関係します。

そして、心の状態は演奏にも大きな影響を及ぼすと考えたので、まずはお金で損しないためにこの本で最低限のことを学んでください。

本の中では確定申告に役立つ情報はもちろん、こんなことも書いてあります。

  • フリーランスになる!と決めたらまず何をするべき?
  • 病気や怪我に備える!国民健康保険
  • 「扶養外れちゃうから、パート減らしてるんだ!」の勘違い
  • 確定申告しないとどうなるの?

また、こちらはベルリン在住のイラストレーター・高田ゲンキさんが書かれた本です。

音楽とイラストレーターでは職の内容は違いますが、どうやって仕事を見つけたのか?クライアント先との金銭トラブルが起こったときにどのように対処するべきなのか?など参考になる部分がたくさんあったのでおすすめします。

2.仕事を探そう

フリーランスとしてやっていくために、しっかりと仕事としてやっていきたいところ。

でもそもそも仕事ってどうして生み出すんでしたっけ?

ちょっと一緒に考えてみましょう。

知り合いの誰かからの紹介

先輩、後輩、同級生、先生、知り合いの方など、人からの紹介でお仕事をいただきますよね。

ただ、もし『同じくらいの実力』の人がいた場合、選ばれるのは一緒にいて居心地の良い人や、他の共演者と協調性が取れる人だと思います。

誰かからお仕事をいただくということは、人付き合いも上手に出来るようになる必要があります。

仕事は「物」ではなく「人」が運んでくるものだからこそ、きめ細やかな対応が求められます。お仕事をいただけたことに対する感謝や、お世話になった方へのお礼は丁寧にするようにしましょう。

演奏が上手ければ誰かが仕事のお声をかけてくれるか?というと、やはり演奏だけでなくそれ以外の場面での対応も含めてお願いしたいと思ってもらえるかどうかが大切なのだと思います。

漠然と『お仕事がない』と嘆くよりも、自分が今までどんなお仕事を誰からいただいて、そのあとどうなったか?もう一度呼んでいただけている仕事とそうでない仕事で何が異なるのかをクリアにしてみましょう。
他にも、よくお仕事をもらっていると感じる人の良いところをリストアップしてみたり、より具体的に自分の現状と課題点を洗い出すことをおすすめします。

発信していたら向こうからお声がかかる場合も

わたしはSNS大好き人間ということもあり、ブログ、Twitter、インスタグラムで発信しています。2018年の10月に音楽院に入学したくらいから、日本に住んでいるときは分からなかった留学に関することや音楽院の内容、パリで受けたレッスンの内容などを意識して発信するようにしました。

すると、日本に一時帰国しているときのレッスンの依頼が増えました。わたしにとってレッスンも「ライフワーク」になるつつある今、これは本当に嬉しいことです。

普段発信している内容に合わせてご依頼をいただける内容も変わってくるのですが『自分で何を扱うか決める』のはとても大事です。

SNSの発信内容は絞った方が届きたい人に届きます。発信方法が自分と届けたい人の双方に合っている場合は短期間で効果が実感できると思います。

3.何を扱うのか決めよう

フリーランスとしてやっていくにあたり、自分でどんなものを扱うのか決めましょう。

例えば『演奏』と『レッスン』なのか、『作曲』と『編曲』なのか。。

自分が扱うものをしっかりと決めることで、次のことが明確になります。

  • 自分の提供できるもの(サービス)を誰に届けたいのか?
  • 誰に買って欲しいのか?
  • どんな場所に行き、どんな人と会えばその仕事が出来るのか?
  • どんな人がその仕事を管理しているのか?
  • これらが明確になったら、あとは行動あるのみです。

収入は安定しているにこしたことはないのですが、最初は「バイト+フリーランスの活動」も一つの形だと思います。わたしがフリーランスとして活動し始めた頃は、学生時代からやっていたマクドナルドでのバイトでの収入をメインに活動していました。

ただ、いま振り返ると音大生のときにここに書いているような事をきちんと考えたことがなかったのです。『いつか仕事がくる!』と謎に強く信じてました。自分のこと、自分の人生に関わる大切なことなのに、どこか逃げていた自分がいたなぁ、とも思います。

4.自分の単価を決めよう

フリーランスになって迷うことの一つが『自分の値段を決めること』ではないでしょうか?

わたしも本当に迷いました。

単価は相手の予算によって様々ですし、もし予算が合わなければその都度柔軟に対応すれば良いと思うので、高いかな?と思っていてもまずは希望金額を提示してみましょう。

それでOKが出る場合もあるかもしれないし、値下げを提案される場合もあるかもしれませんから、そういうときでも「通常はこういう場合ですと○○円いただいてるんですが、、」と伝えておくことも大事です。

例えば、わたしはレッスンを1時間1万円で行なっていますが、その前後に悩みに相談できる時間を設けたり、レッスン後に振り返りを送るようにしています。

以前1時間5000円に設定していたときもあったのですが、色々と思うところがあり現在の価格にしました。

きちんと納得できる内容と値段であることはとても大事なので、他人から「高い」「低い」の意見は気にせず、自分の意思で提供する内容と値段を決めましょう。

5.ライスワーク、ライフワーク、成長するための取り組みをクリアにしよう

ライスワークとは生きていくためのお金を稼ぐ仕事、ライフワークとは音楽家としての生きがいややりがいを感じられる仕事のことです。

まだライフワークが見つかっていない人は焦らなくても大丈夫ですし、わたしの場合これに加えて『実力が伸びていると実感出来る取り組み』があると心がとても安定することが分かりました。

実力を伸ばすために常にトライすることはわたしの価値観の中ではとても大きなものなのです。

世の中には様々な音楽の仕事があります。

それらを『音楽の仕事』とひとまとめにするではなく、仕事である以上常に求められるもの以上の内容を提供することを考えながら、「この仕事はライスワークなのか?ライフワークなのか?」ということを考えて望んで欲しいと思います。

なぜなら、これが分けられていない人ほど、ある日突然『わたし、何のために音楽やってるんだろう』となる人が多いのです。

原因は、低賃金だったり、音楽家としての成長が感じられないなどが主な理由だと思うのですが、ライスワークばかりこなしているとある日突然気力がなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

「音楽を仕事にしたい」という思いを抱いてフリーランスになるのは良いのですが、実はこの考えはとても抽象的。

心を健康な状態に保つためには何が必要なのか?

自分の中で大切にしたい価値観を考えてみて、そこで見えてきたものをライスワーク、ライフワークと共に大切に出来るといいですね。

6.開業届を出そう

開業届を出すことはぜんぜん難しいものではありません。

また、今ならとても簡単にfreeで開業届けの申請書類を制作することができます。


freeの登録は無料で出来ますし、確定申告の際にもクレジットカードと紐づけておくとすごく簡単に終わります。

開業届については先ほど紹介したこちらの本にも書いてあります。

ぜひフリーランスとして活動をはじめるこの機会にやってみてください。

7.お金を稼ぐ前に月々どれくらいのお金が出て行くのか計算しよう

やみくもに『稼がなきゃ』と思うよりも、まずは毎月必ず必要な固定費を把握しましょう。

<毎月変わらない固定費>
・家賃
・光熱費
・通信費(wifi、スマホ代)
(・楽器ローン)

<毎月変わる変動費>
・食費
・交通費、ガソリン代
・日用品
・交際費
・被服費
・娯楽費

この中で大きい割合を占め、見直せるのが「家賃」「通信費」です。

特に通信費は最近だと格安simを使っていない人は絶対に損してます。

ぜひこの機会に乗り換えてみてください。

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また、最近はクレジットカードで払える場所が本当に多くなってきているので、常にクレジットカードで払うようにしてポイントを貯めるのもいいでしょう。

楽天カードは本当にすぐポイントがたまるのでおすすめです。

8.人との距離感をうまくとれる人になろう

音大でも社会に出ても、音楽は一人ですることが出来ません。

常に誰かと一緒にやるものですから、そのときその時で関わる人との距離感がとても大切になります。

同級生、後輩、先輩、先生、仕事先で出会った人、コンサートに来てくれるお客様。

それぞれ一人一人個性も違いますし、お互いが心地よい距離感はそれぞれ違うことでしょう。

ただ、いつでも大切にしてほしいのは『その人と一緒の時間を過ごせて良かったな』と思ってもらえるよう、相手を大切にすることです。

ただ、執拗に個性や生き方を否定されたりする場合は、少し距離を置くようにしましょう。

あなたが良いと思う生き方が一番幸せなはずです。どれだけ優しい人でも、楽器が上手くても、有名な人でも、人間的に合う・合わないはあります。

いつでも自分の心を大切にしてくださいね。

9.SNSやブログを活用するなら自分に合うやり方で

実は少し前まで「音楽家はみんなSNSをやれば良い」と思っていたのですが、パリに住んでからいろいろ考えが変わりました。

言葉と写真で誰かに興味を持ってもらうと言うのは簡単ですが、やはり人によって得手不得手があります。

わたしは読みやすい文章を理解するために文章術の本もたくさん読みましたし、マーケティングに関する本もたくさん読みましたが、今はそれをしていなくても良かったのかもしれないな、と思うのです。時間は有限。その時間を練習したり美術館に行ったり、歴史を学んだりすることにも充てられるからです。

仕事の種類によっては、SNSをしていなくてもお話をいただけるものも勿論あるだろうし、発信していなくても指導校の生徒や音楽教室の生徒さんがたくさんいる人なら、コンサートのお客さまもすぐに集まるかもしれません。

SNSやブログをを活用してみよう!と思ったらまずは始めてみて、目指している景色になかなか辿り着かないな、と感じた時点から試行錯誤を繰り返してみてください。

人の個性はさまざま。同じSNSを使っていても、言葉やスタンプの使い方、写真の撮り方や加工の仕方など選択肢は無限にあります。

また、SNSよりもブログが向いている人、ブログもアメブロよりも今見ていただいているようなワードプレスで作ったブログの方が向いている人もいるでしょう。

とにかくSNSやブログを活用する場合は、自分にあった場所を選び、自分にあった内容を発信していくことが大切です。

10.自己肯定感を持とう

自己肯定感というのは『自分はすごい』『自分はハッピー』等とただポジティブでいるようなものではなく、どんな状態や状況であっても『自分を肯定する』ということです。

例えばコンクールで努力が報われても、報われなくても、自分を肯定出来る人は反省をして次のステップに前向きに進んでいけます。

一方、自己肯定感がない人はそれまでの過程だけでなく自分の存在や音楽性まですべて否定してしまいます。もちろん反省は必要ですが、いつでも自己批判を繰り返す必要は全くありませんし、わたしは日本の厳しく真面目な教育が自己肯定感の低い音楽家を生み出しているのだと考えています。

日本人は真面目な人が多いためか、たまに演奏に対する意見が度を超えて個性の否定になる場合があり、これは先生側に責任があるのですが、生徒側はそれを判断できないため自己否定のループに入ってしまうのです。

わたしも否定グセがあったのですが、今は『でもそんな風に否定してもしんどくない?』と心に聞き返しています。

さいごに

フリーランスとしての人生は先が読めないことも多いし、新しいことにチャレンジするときは不安がつきもの。

心が弱くなってしまうときもあると思いますが、一緒に頑張っていきましょうね。

これからフリーランスになる人にとって少しでも参考になることがあれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

株式会社Locatell代表取締役社長 / 一般社団法人福知山芸術文化振興会 代表理事 / プロのクラリネット奏者としての活動を2023年9月で休止し、起業家として芸術文化・まちづくり・海外を軸に複数の事業を展開中

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